―今回は、別府市で文具店を経営されている「株式会社 堀文」
堀 高志会長、堀 雄太朗社長、堀 由美店長のところに伺いました。
インタビュー:加藤会長、加藤元(担当者)
加藤: 本日はお忙しいところよろしくお願いします。早速ですが、インタビューを始めさせてください。堀文さんの創業について教えてください。
堀会長(以下会長):昭和28年に、此処ではなく道を挟んだ向かい側の一間を借りての創業でした。
加藤:誰が始めたのですか?
会長:父が始めたのですが、父は国立病院に勤務していた関係で、祖母が店
番をしていました。亀川小学校へは、母が毎日注文を取りに訪問しますし、
豊岡の学校にもカブを運転して出かけていました。
加藤:営業はお母さんが一手に引き受けていたのですね。
会長:「国家公務員だから結婚したのに、文房具店の商売を始めたので、私
が働かなくてはならない。」というのが母の口癖でした(笑)
加藤:お父さんは定年まで公務員をされていたのですか?
会長:いや、途中で辞めました。多分、上と喧嘩でもしたのではないです
か(笑)
割合はどうなっていますか?
会長:売り上げのほとんどが外商となっています。昔は、外商は学校と官公庁だけでした。
加藤:お堅い先だけだったのですね。
会長:民間を取り出したのは、テクノポリス構想でいろんな工場ができ始め
るので、将来的にそことの取引を始めようというのが始まりです。私が帰っ
てきてからです。
加藤:中古機械のレンタルもしていますね。
会長:最初は高速道路ができるときに現場事務所から問い合わせで、中古で
もよいからレンタルするものがないかと、向こから問い合わせがあったこ
とに応えたものです。
加藤:別府が本拠地ですが、県都の大分市に移ろうと思ったことはないですか?
会長:当然考えはありました。やはり大分市は大きいですから。そこで、県
庁に一番近い大手町に営業所を出しました。
会長:普通は、内容を整えてから社長交代をしようとするのでしょうが、逆
に社長が変わることで、内容が変わっていくことに期待しました。
若いうちに経験し、3年ぐらいして内容も変わっていけばよいと思っていま
す。
堀社長(以下社長):会長が社長になったのが平成元年で、今年が令和元年
と区切りがよかったこともあります。
加藤:社長になって、緊張感みたいなものを感じますか?
社長:なんとなく子供のころから、なるだろうと思っていました。ただ、自分はそんな柄ではないので、継ぎたくないなと思っていました(笑) でも、言われた時は「分かりました」と受けました。 親孝行をしたいと思ってこちらに帰ってきましたので、親が喜んでくれるのが一番うれしいですね。
加藤:親孝行ですね。
堀店長(以下店長):いいお嫁さんを頂いて、ねえ。
加藤:商売をやっていくうえで、相方は大変大事ですよね。その点、会長は奥さんにずいぶん助けてもらったでしょ。
店長:先生、お上手(笑)
加藤:会長は突っ走るタイプだったでしょうから。
店長:仕事のやり方を変えていく時代でしたので大変だったと思います。
先代のころは、物が飛ぶように売れて商売が面白かったと思うんですよ。それが、自分で変えていかなければならない時代になって、苦労も多かったと思います。 これからはもっと変わっていくのでしょうね。
会長:不安が最初に来る。それを解決するためにも前進・前進でやっていくことだね。
社長:社長という役職をもらって、すっきりはしました。今まであいまいな
立場でしたので、ポジションが定まって周りの目もそうなってきた。決断す
る立場になって、分かりやすくて良いのかなと思っています。
社長:オフィスの内装やレイアウトをして備品を納入するといった会社に勤
めていました。
加藤:修行してきたのですから、その方向に堀文を変えたいと思いませんでしたか?
社長:うちの基盤を考えると、ローカルを大事にしてうちらしくやって行
き、上乗せができればいいかなと思います。
会長:うちも既に取り組んでいることでもあるんです。
社長:会長が打ち出した「グリーンオフィス」に取り組んでいこうと思っています。
加藤:具体的にどんなことですか?
社長:会社は人間関係じゃないですか。グリーンが心のメンタルケアにな
るし、オフィスにグリーンを持ち込んで癒しの空間を作る提案をしていけ
ば、需要もあるのではないかと考え、実験をして行こうということです。
加藤:毎年の年度スローガンを張りだしていますね。どういう思いで作られていますか?
か?」と問いかけられた時に、「今
を感じることが大事だよ」と答えま
した。
今を大切にし、今を感じることがで
きれば、いい仕事も出来るし、今取
り組んでいることを一所懸命にやる
ことだとの思いから「今感力」とし
ました。
会長:朝礼では「堀文肝五訓」を唱和しています。
店長:大きな声で、早口なので外部の人が聞くと何を言っているか分からな
いと思います。早すぎませんかね。
会長:大きい声でワアと言っていますが、不思議に最後がぴったりと合います(笑)
社長:新しく入ってきた若手が、この会社は「ヤバイ」と言っていました(笑)
加藤:朝礼に何を求めていますか?
社長:とにかく朝元気よくスタートすることを大事にしています。
会長:確認ですね。顔を合わせ、モチベーションを上げる事を重視しています。5分なり、10分なり顔を合わせることで交通事故も防げているのではないか?売り上げも上がっているのではないか?と思っています。
加藤:決算報告会を毎年されていますが、いつごろ始められたのですか?
社長:5年前からです。武蔵野という会社に研修に行った時、決算報告会をやった方が良いよと言われました。帰って会長に報告すると、うちも前やっていたよと言うではないですか。それで、再開しましょうということになりました。
会長:会社の数字を社員さんに開示しています。社員さんは営業の数字は見
る機会はあっても、会社全体の数字を見る機会はないですよね。
加藤:外部の人も参加していますよね。
社長:プロスパーから当社担当の元さんと、銀行から支店長と担当行員の出
席を頂いています。できれば、取引業者や仕入先の方も参加してもらうよう
にしたいと思っています。一年に感謝し情報交換をする場にしたいと思って
います。
加藤:毎年、プロスパーでも経営方針発表会をやっています。2部構成にし
ていまして、前半は社員が個人ごとの活動計画を発表し、後半は来賓の出席
を頂き、会社全体の年度方針を発表しています。
会長:来年は後半の部に取引業者や仕入先をお呼びする方法でやってみたい
ね。
社長:そうしましょう。
社長:業者さんからの提案でした。ホームページにブログを載せるのに、ど
うせなら新聞形式の方が良いという提案でした。
加藤:新聞に漫画が載っていますよね。
社長:漫画を描く人がいて、堀文の歴史を連載の漫画にしてくれました。
会長:歴史を見てくれると、お客さんとの話題ができて良かったです。
加藤:新聞を拝見すると、地域おこしやリレーマラソン・100キロウォーク
への社員さんの参加のことが載っていますが、そのことについてお聞かせく
ださい。
社長:亀川の地域おこしに積極的に参加しているのは、会長の方針のお陰で
す。家族を大事にしろ。スタッフを大事にしろ。幸せの順番で「近い場所か
ら幸せにしていこう」ということになって、地元の亀川に関わっていってい
ます。
加藤:リレーマラソンに社員さんと参加されていますよね。
会長:走れる人が何回も走って、私は最初と最後だけです。でも楽しかったですよ。1回目なので、「堀文陸上部」で申し込んだら、合同新聞から取材を受けて写真入りで新聞に載りました。裏話をすると、ユニフォームは作業用ジャンバーで、写真を撮る時に革靴を履いた社員は後ろにして、私が急遽運動靴を履いて前で隠して体裁を整えたんです(笑)
加藤:100キロウォークに6回も出場したそうですね。
会長:100キロウォークは「何か一つぐらい自慢できることが無いかな?」
と考えて挑戦し始めました。歩いている間に仕事のことを考えることができ
ると思っていましたが、実際には何も考えることはできませんでした(笑)
加藤:リレーマラソンや100キロウォークと社員を誘っていますが、よくついてきますね。
社長:半分強制ですね(笑)
会長:最初は無理やりでも参加させて、2回目からは自分の意志で判断すれ
ばいいじゃないですか。
社長:いつの間にか会長のペースにはまって、気づいたら巻き込んでいるの
です。羨ましいですね。
加藤:そのDNAを引き継いでいるのですから。社長も出来ますよ。
本日は大変ありがとうございました。